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Kaori Uetake

交通関係のナッジ事例③:左折事故を減らすには?人間の意識と物理的環境に働きかけよう

更新日:2022年7月31日


今回は、米国サンフランシスコ市で行われた、行動科学に基づく交通事故防止の取組をご紹介します。




サンフランシスコ市では、市内の交通事故死亡事故の38%が左折の際の不注意でした(2019年)。(米国は右側通行のため、日本の右折に該当)



交通事故の被害者をゼロにすることを目指す「Vision Zero」計画のもと、どうすれば左折事故を減らせるか、行動科学の知見に基づいた検討を行いました。








交差点での車の観察や関係者への聞き取りにより判明したのは、


  • 曲がり始めるタイミングが早いため、横断歩道を斜めに通過することになり、歩行者と衝突するリスクが高まる


  • 交差点に進入するスピードが速く、減速も不十分


  • 対向車が途切れる短い時間で曲がろうとするため、歩行者や自転車をほとんど確認していない


という現状でした。









そこで、



①交差点侵入のスピードの減速を促すために「時速5マイル(時速8km)」キャンペーン



②十分に前進してからの左折を促す「直角に曲がろう!」キャンペーン



という普及啓発キャンペーンを行うとともに、



行動を促す物理的環境を整備するため、



中心線にポールを追加設置




左折箇所に直角のウェッジを設置





するなどしました。







これらの取り組みを実施した介入群の交差点と何もしていない対照群の交差点とで比較したところ、


左折速度が


平均時速1.7マイル(時速2.7km)


有意に減少し、その効果は継続したそうです。







ある統計データによれば、時速が2.7km変わると、交通事故の負傷者、死亡者に約3倍の差が出るそうです。



このように、行動科学の観点から普及啓発キャペーンを実施したり、物理的環境をデザインすることで、社会課題の解決に貢献することができます。









関心を持たれた方は、下記の参考リンクから詳細をご確認ください!




📗参考リンク


サンフランシスコ市 The Safer Intersections Project 報告書


Behavioural Insights Team Blog








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