行動しない理由を考えるーSHELLフレームワーク
- Kaori Uetake
- 6月27日
- 読了時間: 3分
更新日:6月28日

なぜ望ましい行動をとってくれないんだろう?それを考えるときに最初にやってしまいがちなのが、「知識が足りないから」「やる気がないから」と決めつけてしまうことです。人が行動しない理由はそれだけではありません。まわりの人の影響、いつもの癖、不安や面倒くささ、情報のわかりにくさなど、いくつもの要因が絡み合っています。
そこでおすすめしたいのが、「SHELL」に基づいて考えてみることです。SHELLは、人が行動できない背景を5つの視点から整理するためのシンプルなフレームワークで、これに沿って考えることで「そもそもなぜ行動しないのか」を様々な観点から洗い出すことができます(Costaら, 2026)。
SHELLは、Social Influence(社会的影響)、Habits(習慣)、Emotions(感情)、Limited cognitive processing(情報処理の限界)、Limited willpower(意志力の限界)の頭文字から取られています。それぞれの視点と意味は次のとおりです。
視点 | 意味 | 例 |
S:Social influence | 社会的影響 | まわりの人や状況、空気に影響されていないか |
H:Habits | 習慣 | いつもの癖で行動していないか |
E:Emotions | 感情 | 不安、嫌悪感、恥ずかしさ、気まずさなどの感情がないか |
L:Limited cognitive processing | 情報処理の限界 | 情報が多すぎる、読まれていない、判断しにくくないか |
L:Limited willpower | 意志力の限界 | わかっていても面倒、疲れる、後回しになっていないか |
たとえば、ごみの分別を例に考えてみます。分別ミスが起きる理由は、「分別ルールを知らない」「環境意識が低い」だけとは限りません。ほかの人が間違えて捨てているのを見て、つられてしまうのかもしれません。家庭での分別の習慣のまま、意識せず手が動いているのかもしれません。ほかにも、ごみ箱の中が汚れて見えて近づきたくない、表示が長くて読む気になれない、他の人を待たせないように手近なごみ箱に入れてしまう、といったことも考えられます。
SHELLで「なぜ行動が起きないのか」という阻害要因を洗い出したうえで、EAST(Easy・Attractive・Social・Timely)で打ち手となるナッジを考えるーそんな役割分担で組み合わせることで、打ち手の選択肢も自然と広がります。単に「もっと啓発する」だけでなく、表示を短くする、写真や実物の例を見せる、ごみ箱の配置を変える、正しい投入例が見えるようにする、まわりの人がきちんと分別していることを伝える、といった具体策を考えやすくなります。
SHELLは、行動の背景を考えるための入口です。行動変容を考える第一歩として、政策づくりの場で気軽に使えるフレームワークだと思います。
引用文献:
Costa, S., Mills, S., Duyck, W. et al. Advancing applied behavioral science: the GAP framework. Humanit Soc Sci Commun 13, 261 (2026). https://doi.org/10.1057/s41599-026-06542-3
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